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他者が母乳を提供する母乳バンク。「ドナーミルク」の需要

近年増えている高齢出産や不妊治療による多胎妊娠。体重が1,500gに満たない赤ちゃんは増え続けています。
こういうケースでは母乳が出ないお母さんもいます。また、満期産でも病気のため母乳をあげられないお母さんもいます。
そんな赤ちゃんでも安心して母乳を飲んでもらおうと、他者が母乳を提供するシステム「母乳バンク」があります。

 

日本で最初の母乳バンクは2014年に設立

 

2014年、日本で初めての母乳バンクが昭和大学江東豊洲病院小児科に設立され、同時に一般社団法人「日本母乳バンク協会」も設立されました。
海外では約50カ国、600施設ほど設立されており、アメリカやカナダでは毎年2,3カ所新設されているとのこと。しかし日本では、設立から5年たってもこの1ヵ所しかありません。
毎年4千~5千人の赤ちゃんが必要としているドナーミルク。ドナーミルクは家庭の経済事情に関係なく必要な赤ちゃんに届けられるように、無料としています。

 

課題は費用の問題

 

母乳バンクが増えない最大の理由は費用の問題です。ドナーミルクは低温殺菌装置や冷凍保存装置など設備を整えるのに約500万円かかります。さらに検査費などの人件費に年間で約400万円。
これだけの費用を捻出するのは非常に難しく、開設したい医療機関があってもなかなか実現できない事情があります。

 

早産の赤ちゃんには人工乳を与える病院が多いが・・・

 

病院では一般的に母乳が与えられない赤ちゃんには人工乳-粉ミルクを与えます。満期産で体重も標準範囲の赤ちゃんであれば、さほど問題はありません。
しかし、早産の赤ちゃんは胃腸が未発達のまま産まれてくるので、さまざまなリスクが伴います。そんな赤ちゃんには、消化吸収がよく免疫物質も含まれる母乳こそ適しています。
他にも、乳糖分解酵素が活発化したり、未熟児網膜症などの病気を防いだりと、人工乳にはないメリットがたくさんあります。
赤ちゃんのために母親の体内で生成される母乳は、どんな優れた人工栄養素にも勝るのです。

 

母乳バンクへの登録はどうやるの?

 

母乳バンクの登録は以下の順序で行います。
①提供希望者の血液検査や問診→
②母乳の細菌検査→
③62.5℃で低温殺菌→
④再び母乳の細菌検査→
⑤マイナス30℃で冷凍保存

ただし、ドナーミルクの保存期間は安全衛生面から最長で3ヵ月となっており、常に新しいドナーミルクが必要になります。いつでも安心して提供できるようになるのが理想ですね。

 

2019年7月31日(水)朝日新聞より

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