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Eテレ おかあさんといっしょ「65周年」の快挙
現在35歳の朝日新聞の記者は・・・
NHK・Eテレの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」は、今年10月に放送開始から65年を迎えました。この番組は、人生で3度出会うとよく言われます。それは、子ども時代、親になった時、そして孫ができた時です。
私自身も幼い頃に速水けんたろうさんや茂森あゆみさんたちの出演を見て育ちました。また、小学生時代には「だんご3兄弟」の大ヒットを身近に感じたことを覚えています。
その後、番組からはしばらく離れていましたが、朝日新聞でNHKを担当する宮田記者として活動する中で、約1年半前に長男が誕生。人生で2度目の「おかあさんといっしょ」を、今度は親子で楽しむ日々を過ごしています。
(※2024年11月18日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)
子どものために進化し続ける「おかあさんといっしょ」の魅力
この番組の楽しさの原点とは何なのでしょうか――。30年以上にわたり幼児番組に携わってきた古屋光昭プロデューサーらに取材を通じて強く感じたのは、「子どものために作る」という揺るぎない姿勢でした。
放送開始当初の対象年齢は4~5歳でしたが、1970年代に幼稚園に通う子どもが増えたことを受け、1979年からは2歳児を対象とした研究が始まりました。その結果、2歳児の集中力は約2分半しか持続しないことが明らかになりました。このデータを基に、短いコーナーを組み合わせる現在の番組構成が生まれました。
そして、このスタイルは時代に合わせて進化を続け、今もなおアップデートされ続けています。子どものために工夫を重ねる姿勢が、長年にわたる番組の魅力を支えているのです。
一流クリエーターが紡ぐ、子どもたちへの真摯なメッセージ
表現者たちの熱意や気概を強く感じる場面もありました。楽曲提供を行ってきた「いきものがかり」の水野良樹さんは、放送65年を記念した特別番組で次のように語っています。
「ポップスを作る者にとって、これほど刺激的なフィールドはありません。言葉を知らない子どもたちが楽しめる曲は、真にポップでなければならない。そして子どもたちは非常に正直です。楽しめないものは、歌おうともしないんです」。
こうした言葉から、一流のクリエーターたちが子どもたちと真摯に向き合い、次の世代へとその思いをつなげていることがよく分かります。
「おかあさんといっしょ」が親にとっても支えとなる理由
古屋さんによれば、「おかあさんといっしょ」について、子育てに悩む親たちから「戦友のようだ」という声が増えているそうです。私自身も子どもが生まれたことで、社会の見え方が大きく変わりました。
例えば、ベビーカーを使って公共交通機関を利用する際のことです。混雑するバスで子どもが泣いてしまうと、肩身が狭い思いをします。また、エレベーターのない駅では電車移動の不便さを痛感しました。
共働きの妻と3人で暮らす日々は、楽しい反面、余裕がなくなることもあります。そんな中で、「おかあさんといっしょ」の優しい世界観に子どもとともに触れる時間は、私自身にとっても癒やしのひとときになっています。この感覚はきっと、私だけのものではないはずです。
テレビ離れの時代に求められる公共放送の使命
若年層を中心にテレビ離れが進む中で、NHKの存在意義がこれまで以上に問われています。経営の効率化が進む一方で、「制作費の削減が番組の質に影響を与えるのではないか」といった懸念も、局内外から聞かれる状況です。
しかし、丁寧に時間をかけて作られる良質な番組は、公共放送としての使命を支える生命線であることに変わりはありません。放送開始から65年を迎えた「おかあさんといっしょ」もまた、これを通過点として、「みんな、元気~?」という親しみの声を、これからも変わらず届け続けてほしいと願います。