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紙の絵本とデジタル絵本 それぞれに強みがあるんです!

スマートホンやタブレットで本が読めるのが当たり前の時代になりました。しかし、子ども向けの絵本の多くは電子化されていません。しかし、電子化しないと他の娯楽に負けてしまうのではないか、と最近は電子絵本を提供するサービスが増えているそうです。目で見て音を聞いて手で触って・・・絵本の楽しみ方はそれぞれですが、理想の形はあるのでしょうか。また、それぞれのメリットやデメリットも考えていきましょう。

 

▼絵本のデジタル配信の誘いもあった・・・けど展開していない福音館書店

 

「うさこちゃん」や「ぐりとぐら」など多くの人気絵本を出版している福音館書店には、絵本のデジタル配信の誘いもあったようです。しかし現在のところ、電子絵本は出版していないそうです。
担当者は「紙の手触りやページをめくる行為など全て含めて絵本。ストーリーに合わせて考えた大きさや形、また、印刷の色味は、電子化すると失われるのでは」こう話しています。

長く続くコロナ禍で、電子出版業界はかなり好調です。出版科学研究所が統計を始めた2014年当時の約4倍の市場となっています。特に電子コミックは勢いがあり、2021年は電子出版市場の約9割を電子コミックが占めていました。

 

▼絵本はまだまだ紙が堅調

 

出版科学研究所によると、書籍の販売額は年々減っているそうですが、絵本は別。2015年以降300億円超の販売を維持しているそうです。コロナ禍の2020年には330億円と伸びていました。
電子出版には消極的な版元も多く、絵本については電子出版の動きは鈍いそうです。

 

▼電子出版化している版社もあるが、乳幼児には紙を求める層が多い

 

「アンパンマン」シリーズや「PUIPUIモルカー」シリーズなどで知られるフレーベル館は、約250タイトルの絵本を電子化しています。
しかし、紙の種類からこだわって作る絵本の空気間は、デジタルでは再現できない、と担当者は語っているそうです。
また、保護者や祖父母からも、乳幼児に対しては紙の絵本を求める人が圧倒的に多く、小さな子どもへ電子機器を与えることへの抵抗感が見えてきます。
そのため、電子化するのは大人向けの作品が中心だそうです。

 

▼最近注目の「絵本アプリ」

 

Youtube上には、未承諾で読み聞かせ動画が多くアップされています。絵本紹介サイトを運営する「絵本ナビ」の金柿社長は、「公式のデジタルコンテンツが発表されていないため、どうしても違法アップロードがすすんでしまう」と頭を悩ませています。
「絵本ナビ」は2020年10月に「絵本アプリ」をリリースしました。スマホやタブレットから1万冊以上の絵本が試し読みできます。有料プランでは約350冊が読み放題になります。現在ダウンロード数は56万程度だとのことです。

金柿社長曰く、絵本の世界は「紙vsデジタル」ではない、と言い切ります。「絵本vsゲーム・Youtube」だとのこと。スマホやタブレットの中に絵本がなければ、子どもたちはゲームに流れて行ってしまうだろう、と語っています。

 

▼保護者も苦悩する読み聞かせ、読み上げ機能でできます!

 

2021年に東京ガスが0歳から小学生の子どもを持つ保護者2千人に「絵本の読み聞かせに関する調査」アンケートを行いました。
そうすると、「読むのが疲れる」「読み聞かせする時間がない」という悩みを抱える保護者が多数いることが判明しました。
そこで、絵本読み聞かせアプリ「みいみ」を2019年にリリース。暗い寝室でも利用しやすいように、アプリ画面を暗くする機能を備えており、子どもの寝かしつけによく利用されているそうです。

「BYSENT」というアプリ開発会社は、デジタル絵本を楽しめるアプリ「NANIRO」を2022年の5月にリリース予定です。代表者の赤松さんは「絵本をさわるのは重要な体験だけれども、開いた時の感動や気づきは、デジタル空間でも提供できるのでは」と話しています。大切なのは心に響く思い出であり、それが紙の絵本化もしれないしデジタル絵本かもしれないし、折り紙や料理かもしれないのです。幅人い選択肢を与える、と捉えれば良いのでは、とも語っています。

 

▼絵本作家の五味太郎さん「本に理想の形なんてない!」

 

五味さんは、自作の絵本の電子化については、版元の判断に任せているそうです。さらに五味さんは、自身の絵本を原作に制作されたアニメーション作品を2019年からYoutubeで公開し始めました。瞬時に国内外から視聴される面白さを感じたからだそうです。

ただ、デジタルの絵本を作るのはすぐに飽きてしまうのでは、とも話しています。「絵を描いている人は絵具が好き。そこらについてしまうこともある。そんな不自由が楽しい。絵本を読むことは、利便性を追求することではない。本を読むことにのんびりさやドジな部分がある、そこがいい」と話しています。

また、何かと理由にされる「忙しい、忙しい」にも疑問を抱いているそうです。五味さんは「文明がこれだけ発展したのに、もっと忙しくなってはダメ。余った時間で遊ばないと。未来でものんびり紙の絵本を楽しんでくれる人がいてほしいと願っている」とも語っています。

紙の絵本のメリットは、紙の手触りやにおいを五感で感じられる、親子のコミュニケーションが生まれる、ストーリーに合わせた版型が魅力、などが挙げられます。一方でデジタル絵本のメリットは。読み上げ機能があること、グローバルに発信しやすいこと、持ち運びしやすいこと、などが挙げられます。

両方のメリットを考慮してケースバイケースで使い分けられると理想的ですね。

 

2022年2月26日(土)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。

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