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自閉症児の増加は父親の高齢化がひとつの要因か?

近年、自閉症などの神経発達障害児が増える傾向にあります。その要因として以前から父親の高齢化が指摘されていました。
今回マウス実験の研究結果から、その可能性が強いことがわかってきました。

 

▼加齢により精子のDNAが変化する

 

高齢の父親から生まれた子どもは、自閉症などの発達障害が生じやすくなるというマウス実験の結果が発表されました。
発表したのは東北大学で神経発生学を研究する大隈典子教授ら。加齢により精子のDNAが変化することが影響するとみています。
近年、自閉症などの神経発達障害児は増える傾向にあります。原因の一つとして父親の高齢化が指摘されていました。
神経発達は父親の影響を強く受けるとされています。

 

▼子どものマウスの鳴き方が自閉傾向に

 

大隈教授らは、高齢のオスを親に持つマウスの子どもと、若いオスを親に持つマウスの子どもの鳴き方を比較しました。
すると、高齢のオスを親に持つマウスの子どもは、鳴く頻度が減ったうえに、単純な鳴き声が増えたそうです。
この傾向は、自閉症やアスペルガー症候群が起きるようにしたモデルマウスによく見られるとのことです。
この場合の高齢のオスとはヒトでいう50代程度を指します。

 

▼大脳皮質の一部が薄くなっていた

 

脳の発達の程度を調べるために、知覚や記憶をつかさどる大脳皮質の一部の厚さを調べたところ、高齢のオスから生まれたマウスの子の方が薄かったことも分かりました。
神経細胞の減少によって大脳皮質が薄くなり、自閉症のような症状が生じたのではと見られています。

 

▼高齢のオスの精子は、神経の発生にかかわるDNAの一部が変化している

 

チームは、若いオスの精子と高齢のオスの精子の全てのDNAを解析しました。その結果、高齢のオスの精子は、神経の発生にかかわるDNAの一部が特徴的に変化していることもわかりました。
さらに、高齢のオスから生まれたマウスの子どもの脳を解析した結果、精子の中で変化が起きていたDNAの中にあるとみられる遺伝子が多く現れていたとのことです。この遺伝子によって正常な脳の発達が損なわれている可能性があると指摘しています。
高齢のオスは精子も高齢化し、それが子の脳の発達に影響しているのではと考えられます。

 

▼高齢出産は男女共リスクがある!

 

女性は35歳以上を高齢出産と呼び、以前から胎児や母体にリスクがあるといわれてきました。染色体異常が現れやすいともいわれています。
男性も高齢になると、生まれてくる子どもの脳の発達に影響があることが分かってきました。
今回のマウス実験はヒトでいう50代を想定しています。
男性は「自分は50代60代でも若い女性と結婚すれば子どもを授かることができる」と安易に考えてはいけない、とこの実験は物語っているのではないでしょうか。
女性だけではなく男性も50代過ぎたら「高齢出産」という定義にしてもいいのではないでしょうか。

 

2021年2月10日(水)朝日新聞朝刊より出典

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