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ハローワークでも確保が難しい保育の人材
痛ましい事件が続いている保育現場で、国が定める保育士の配置基準が子どもの数に対して少ないのではという問題提起が起きています。
しかし、配置基準が低い状態でも保育士の人材確保は難しいのが現実です。
保育士不足は有効求人倍率2〜3倍で、全職種の平均を上回ります。
紹介事業者に多額の紹介料を支払い、保育士を確保している民間保育所も少なくありません。
ハローワークでも人材確保できない
保育士のなり手不足、離職率の高さはもとより、待機児童対策で受け皿を増やすという方向性から保育施設が増えたこと、3歳未満時を預ける保護者が増え、配置人数を増やさなければならないこと、保育時間の延長による早番、遅番の人手がさらに必要になったことなどが人材不足の背景にあります。
保育士が足りなければ子どもの受け入れはできません。
しかし現状ハローワークで求人情報を掲載しても応募者がおらず採用できないのです。
保育士は今や介護士や医療従事者と並ぶほど確保が難しくなりました。
背景が見えていることから、その対策を練らなければ今後も待機児童ゼロに至るのは難しいでしょう。
高額の紹介料を払い人材を確保
約10年前から職業紹介事業者を使う私立の保育施設も出てきました。
ハローワークで求人募集をするよりも、なかなか採用することができないので、すぐに紹介してくれる事業者に頼らざるを得ないのです。
厚生労働省が2020年、紹介事業者を利用した保育施設に理由を尋ねました。
その結果、7割を超える保育施設が「ハローワークなど他の採用経路では人材が確保できなかった」と答えています。
「紹介事業者は保育施設や保育士に関して特化しており、マッチングまでの時間が短い」ということがポイントです。
保育士を確保できるのは良いのですが、ネックは高額の紹介料です。
2019年、愛知県のある保育所は紹介料を217万円も支払っていました。
民間保育所は国が定めた公定価格で施設を運営していますが、その内訳に紹介事業者への紹介料の支払いは入っていません。
本来であれば在職中の職員に支払えたはずのお金が保育士を確保するためのお金として消えているのです。
また、就職したばかりの人に紹介事業者側が転職を勧めるトラブルもあったため、厚労省が2020年度、「医療・介護・保育分野等における職業紹介事業の適正化に関する協議会」を開催し、早期離職時には紹介料を払い戻すなど、適正な事業者を認定する制度を始めました。
納得できる園を探すために紹介業者は必要
多忙や人間関係に苦しみ、精神的に病んでしまい離職する保育士はあとを絶ちません。
園の方針や雰囲気、人間関係など入職前に知ることができ、納得の行く保育施設に再就職するためにも保育士の紹介、派遣に特化した紹介事業者は保育士側からすると必要なのです。
保育士の求人転職サイトも登録が増えているため、ハローワークで求人広告を掲載しても採用できないのに紹介サイトではすぐに見つかるという現状もあります。
求職中の保育士はハローワークにでかけずともスマホで気軽に登録でき、紹介事業者はサイトで保育士を求めている保育施設について集めた情報を開示し、登録している保育士の条件に合う保育施設を紹介。
保育士と保育施設側のマッチングが成立すると保育施設が事業者に紹介料を払うというシステムです。
インターネットを通じた就活は増えており、そこにフォーカスすることで必要な人材を確保できるのであれば、さらなる待機児童対策や子育て支援を踏まえた対応を今後国に求められるのではないでしょうか。