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新型コロナ、子どもの重症化が少ないのは、鼻にとどまっているから?
6月1日から学校が再開された地域は多いです。数日前、北九州市の学校でクラスターが発生しましたが、ほとんど無症状か軽症だったという報道もあります。
子どもはどうして新型コロナウイルスに感染しても重症化する例が少ないのでしょうか。
米国バンダービルド大学のティナ・ハータート教授は、「子どもはウイルスが鼻にとどまっている可能性があるのでは?」としています。
▼地域や人種が違っても、世界的に子どもの重症化例は少ない
中国・イタリア・米国の調査では、18歳未満の感染者は2%に満たなく、その9割以上が無症状か軽症・中程度とのこと。
しかし、感染が拡大した時期に学校や保育園は次々と休校や登園自粛の措置が取られ、感染者も少ないうえに検査を受けていない子どもも多く、データを解析するにはまだまだ不十分とのことです。
▼子どもは鼻の中でウイルスがとどまっている可能性がある?
ティナ・ハータート教授は、子どもはウイルスが鼻の中でとどまっている可能性がある、としています。
最近、この説を裏付けるような論文が、米国の医師会雑誌に掲載されました。
新型コロナウイルスは、人体に侵入すると、「ある特定の受容体」とくっつきます。過去に鼻の粘膜を採取して保存してあった細胞を調べたところ、この「ある特定の受容体」は10歳未満の子どもは最も少なく、年齢が上がるにつれて増えていた、とのこと。
10歳未満の子どもは、新型コロナウイルスとくっつく受容体の数が少ない、と推測されます。
結論付けるにはまだまだデータは少ないですが、子どもは単に抵抗力があるのか、症状が出ないだけか、分からないことが多いとのこと。
大人と同程度にウイルスを広める力があるのかも不明とのことです。
▼子どもの感染に関する医学的知見『5/20 日本小児科学会まとめ』
●子どもの感染数は少ない
●ほとんどが家庭内感染
●学校や保育施設のクラスターは極めてまれ
●大人と比べて軽症、死亡例もほぼない、経過観察や対処療法で回復。
ただ、呼吸器不全は要注意
●乳児は発熱だけのこともある
●海外では、足先に凍傷などの皮膚疾患が伴う事例あり
●ウイルスは、鼻の奥よりも便の中に長期間大量に放出される
●海外の報告では、学校や保育園の閉鎖は流行阻止効果に乏しい
▼休校や登園自粛による、子どもの心身への悪影響の方が重大
今回、学校の休校や登園自粛によって感染拡大が防止された効果は少ないとみられています。
一方で、子どもの世話で仕事を休まざるを得なかった医療従事者が多数いたことで、これが結果的に死亡率の増加をまねいたのでは、とも言われています。
また、最も重大なのは、子どもの心身への悪影響。
新潟大学の斎藤昭彦教授は、休校や登園自粛で子ども同士の社会的な交流が減り、うつの傾向が出たりすることの方がリスクとしています。
家庭内暴力や育児放棄、児童虐待が増えたとも言われています。このように心身に与える悪影響の方が大きいのでは、としています。
この度、9月入学が断念されました。これ以上の学びの遅れや友達との交流が減らないように健全な日々を送らせてあげたいものですね。
2020年6月2日(火)朝日新聞朝刊より出典