見直される「おんぶ育児」

平成に入ってから、赤ちゃんを前で抱く「前抱っこ」姿のお母さんをよく見かけるようになりました。
抱っこひもの進化もあり、ベビーカーで出かけにくい場所に行くのに、前抱っこはとても便利です。
抱っこひものデザインも昔よりもスタイリッシュになり、お父さんが装着している姿も良く見かけるようになりました。
ですが、おんぶ育児も忘れてはいけません。今おんぶ育児の良さが見直されてきています。

前抱っこをするお母さんが増えた背景は？

1人でも扱いやすい

赤ちゃんをおんぶするとき、いつも誰かが手伝ってくれる状況ではないので、ソファーや椅子などに赤ちゃんを一度座らせてからしょい込む動作をしなければなりません。
時にはちょっと危ないかな、と感じたりもしますが、1人のなのでそうするしかありません。
その点、前抱っこなら赤ちゃんを抱きかかえたまま留め具を操作することが容易にできます。

赤ちゃんの様子が分かる

お母さんと向かい合った姿勢なので、赤ちゃんの様子が常に分かります。赤ちゃんもお母さんの顔が常に見えるので安心します。寝てしまっても、頭をやさしく支えることができます。

おんぶだといたずらされないか心配？

後ろにおぶっていると、もし何か赤ちゃんにいたずらをする人がいても、お母さんは気づきません。その点前に抱きかかえていれば安全です。

お父さんでも抵抗なし

赤ちゃんをおんぶする姿勢はいかにも古風なお母さんのイメージ。若いお父さんたちにはちょっと抵抗があります。
その点前抱っこなら抵抗なく抱きかかえてくれます。

おんぶにもメリットがいっぱい

お母さんの動作を邪魔しない

赤ちゃんを前抱っこしている状態では、さまざまな動作に制限が出てきます。その点おんぶなら、家事や食事をするのに問題はありません。また歩いていて前が見えなくて怖い思いをする、ということもなくなります。
出かけるときは前抱っこ、自宅で家事をするときはおんぶというように使い分けている方も多いでしょう。

平らな背中はストレス減

背中はほぼ平なので、身体を密着している赤ちゃんにとってストレスが少ないと言われています。前側は、胸やお腹ででこぼこ。赤ちゃんにとっての居心地はおんぶの方が上です。

向きも進行方向も同じ

お母さんが前に進めば一緒に赤ちゃんも前に進みます。前抱っこだといつも目の前の風景が自分から遠ざかる状態になってしまいます。

昔ながらの「高い位置でのおんぶ」がおすすめのワケ

高い位置でおんぶすれば、赤ちゃんはお母さんの肩越しに前が見えます。この前が見える状態は、赤ちゃんにとってとても良い刺激になります。
また、声をあげれば、お母さんが振り向いてあやしてくれるという安心感もあります。
時には服や髪を掴んだり、足や手を踏ん張ったりしますが、その動作も成長にはとても大切です。
このようにいろいろとメリットが多いことから、高い位置でのおんぶは今見直されてきています。

昔はなかった前向き前抱っこ

最近は、前向き＆前抱っこの姿をよく見かけるようになりました。これは抱っこひもの進化により実現可能となった様子。赤ちゃんは高い位置でゆらゆらした状態で、目の前に広がる景色を楽しめます。
ただ、手足が宙に浮いた状態になるので、周りの人に当たらないように気を付けなければなりません。

2019年6月 朝日新聞朝刊より