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妊婦さん「リンゴ病」に警戒を!

全国的に「リンゴ病」(伝染性紅斑)が急増しており、特に首都圏の1都3県では警報基準に達し、注意喚起が行われています。
この感染症は、両ほおに赤い発疹が出るのが特徴です。
健康な成人や子どもが重症化することは少ないものの、妊婦が感染すると流産や死産のリスクがあるため、特に注意が必要です。
しかし、効果的な予防策が確立されていないことから、専門家の間では懸念が高まっています。
(※2024年12月25日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

 

特に妊婦は注意!リンゴ病のリスクと知られざる影響

 

「もし、あのとき医師に『検査してください』と強く求めていなかったら…」――東京都内に住む30代の女性は、当時を振り返りながらそう語ります。
リンゴ病は4~5年周期で流行し、前回の流行は2019年頃でした。
この女性は2019年の春、第2子を妊娠中にリンゴ病に感染し、胎児が危険な状態に陥ったことから入院を余儀なくされました。

 

とにかく「情報が少ない」

 

くしゃみや鼻水、倦怠感が続いたため、妊婦健診で担当医に相談しましたが、「花粉症でしょう」と診断されました。
しかし、腕に発疹が現れたことで違和感を抱き、自治体の配布資料に書かれていた「妊娠中はリンゴ病に注意」という一文を思い出し、改めて検査を希望しました。
ところが、受診した産院にはリンゴ病の検査キットがなく、感染が確認されるまで数週間を要しました。
感染が判明すると、すぐに東京都世田谷区にある国立成育医療研究センターでの診察が決まりました。
その時点で胎児にも感染が広がり、重度の貧血が発症。
さらに、胸やお腹に水がたまり、全身にむくみが出る「胎児水腫」を引き起こす可能性があると診断されました。
医師から「胎児の命に関わる状態」と告げられた女性は、入院してへその緒を介した胎児への輸血を受けることになりました。
2回の輸血によって母体にも強い吐き気などの影響がありましたが、その後、胎児の貧血は改善し、定期的な経過観察へと移行しました。最終的には元の産院に戻り、無事に出産することができたといいます。
「当時は情報が極めて少なく、不安ばかりでした」と女性は振り返ります。
リンゴ病はワクチンがなく、予防が難しい感染症ですが、特に妊婦への影響は深刻です。
正しい知識を持ち、適切な対応をとることが重要だと言えるでしょう。

 

首都圏で過去最大の規模で感染拡大中

 

国立感染症研究所の発表によると、リンゴ病の患者数が2024年11月以降に急増し、2024年12月上旬には全国の医療機関から報告された感染者数が、この10年間で同時期として最多となりました。
特に首都圏では1都3県で過去最大の感染者数を記録し、各自治体が相次いで警報を発令しています。
リンゴ病は、大人が感染しても約半数は症状が現れず、発症した場合も風邪の初期症状に似た咳やくしゃみ程度で済むことが多いです。
子どもや大人のほとんどは自然に回復し、重症化するケースはまれですが、一部の人にとっては注意が必要な感染症とされています。

 

妊娠中のリンゴ病感染に注意、知られざるリスクと予防策とは

 

リンゴ病に詳しい山田秀人医師(66)=手稲渓仁会病院(札幌市)不育症センター長=は、「妊婦がリンゴ病に感染すると流産や死産の原因になる可能性があるものの、あまり知られていない」と警鐘を鳴らしています。
山田医師によると、初めて感染した妊婦のうち「6%が胎児死亡、4%が胎児水腫などの合併症を引き起こすとする報告がある」とのことです。
特に妊娠初期の感染はリスクが高く、注意が必要です。
子どもの頃に感染した経験があれば免疫がついているため感染しにくいものの、「日本人の妊婦の抗体(免疫)保有率は約20~50%とされており、すべての妊婦が安心できるわけではない」と指摘します。
リンゴ病の原因となるヒトパルボウイルスB19には、現在のところワクチンがなく、胎児への感染を防ぐ方法も確立されていません。
そのため、山田医師は「マスクの着用、感染者との食器の共有を避ける、子どもへのキスを控える、手洗いやうがいを徹底するなど、基本的な感染対策が重要」と呼びかけています。

 

妊婦への感染リスク周知を強化へ

 

リンゴ病の流行を受け、こども家庭庁の母子保健課と厚生労働省の感染症対策課は2024年12月6日、全国の自治体に向けて初めて連名で事務連絡を発出しました。
この通知では、妊婦健診などの場でリンゴ病の感染リスクについて注意喚起を行うよう求めています。
しかし、現時点では感染リスクに対する認識が十分に広まっているとは言えません。
山田秀人医師は、「妊婦健診をはじめとする医療現場での啓発を強化し、医療全体が一丸となってヒトパルボウイルスB19による先天性感染を減らしていくことが重要です」と訴えています。

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