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犬との暮らしが思春期の子どもの幸福感を支える可能性と腸内細菌

犬と暮らすことが、思春期の子どもの幸福度に関係しているかもしれません。
麻布大学などの研究結果から、子育てや保育の視点でも気になる内容を考えます。
(※2026年1月21日の朝日新聞の記事を参考にしています)

■犬との生活と子どもの心の関係

麻布大学や東京都医学総合研究所などの研究チームは、犬を飼っている思春期の子どもは、飼っていない子どもに比べて幸福度が高い傾向があるという研究結果を発表しました。
これまでにも、犬と暮らす子どもは孤独感が少なく、幸福度が高いという研究はありました。
ただ、その理由までは十分に分かっていなかったそうです。
私自身も、犬と暮らす友人の子どもが自然に世話をしたり、犬に話しかけたりする姿を見ると、動物の存在が心の支えになることはあるのだろうと感じます。

■東京ティーンコホートで見えた傾向

今回の研究では、「東京ティーンコホート」という調査に参加している都内の男女343人が対象となりました。
13歳の時点で犬を飼っているかを確認し、14歳の時点で「CBCL」というチェックリストを使って、子どもの情緒や行動上の問題などを調べました。
分析では、性別やきょうだいの数、家庭の収入などの影響も統計学的に調整されています。
その結果、犬を飼っている子どもは、飼っていない子どもと比べて、攻撃的行動の尺度が26%低く、社会性の問題の尺度も23%低い差がみられました。
思春期は気持ちが不安定になりやすい時期なので、こうした差が示されたことは、保護者にとっても関心の高い内容だと思います。

■腸内細菌叢という意外な視点

今回の研究で特に興味深いのは、犬との生活と腸内細菌叢の関係に注目している点です。
腸内細菌叢とは、腸の中にいる細菌の集まりのことです。
犬と生活すると、この腸内細菌叢が変化するという結果が過去に示されていたため、研究チームは子どもの幸福度との関連を調べました。
正直なところ、犬を飼うことと腸内の細菌が結びつくという発想は、一般市民の感覚では少し意外です。
しかし、生活環境が体や心に影響することを考えると、動物との暮らしも子どもの成長環境の一部なのだと感じます。

■マウス実験から考える社会性への影響

研究では、子どもから採取した唾液のサンプルを、体内に細菌を持たない無菌マウスに投与しました。
口の中の細菌の状態は、腸内細菌叢に近いと考えられているためです。
すると、犬を飼っている子どもの唾液を与えたマウスは、犬を飼っていない子どもの唾液を与えたマウスより、閉じ込められた仲間マウスに近づいて匂いをかぐ時間が最大8.5倍長いという差が出ました。
この行動は、苦痛を感じている仲間への共感の表れと考えられています。
人間の子どもにそのまま当てはめることはできないとしても、細菌叢が行動や社会性に関わる可能性がある点は、とても興味深いです。

■子どもの幸福を支えるものを広く考える

菊水健史・麻布大学教授は、子どもの幸福度を左右する主役は人間関係だとしたうえで、細菌叢の変化が幸福度を支える小さなきっかけになっているかもしれないと話しています。
この言葉には、とても納得できます。
犬を飼えば必ず子どもが幸せになるという単純な話ではないと思います。
ただ、家庭や保育の場で子どもの心を考えるとき、人との関わりだけでなく、動物や生活環境が与える影響にも目を向けることは大切だと感じました。
今後、便を用いてより直接的に細菌叢を調べるとのことで、さらに研究が進むことを期待したいです。

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